2024年も残りわずかとなりました。いつものように今年のまとめを書き留めていきたいと思います。
ひとつめ。
SMEEさまの「ラブピカルポッピー!」
ブレーキがない車ってこんな感じなんだ……みたいな気持ちで参加していた、イチャでラブい作品です。全体的にテンションが高い、というのはもちろん勢いがあって、ベタな表現ですがジェットコースターみたいな作品でした。
テンションの高い作品は、要所のしっとりとしたシーンがスーっと利いて染みて、みたいなところもあって、それは告白シーンであったり、苦悩するシーンであったり、落ち着いた会話であったりに作用して、いわゆるメリハリというものを生み出していくのだな、というのが実感しやすい作品でした。
開幕、萌えゲーと思わせて燃えちゃう展開から始まります。未プレイの方はぜひどうぞ。
ふたつめ。
あざらしそふとさまの「年上彼女 」
タイトルを見ただけで内容がすべてわかる作品。主人公の糺央くんが、才色兼備だけど男性が苦手な甘寧さんと出会い、好きになって、そして……というお話。ロープライスの単独ヒロイン作品って、実はこれが初だったんじゃないかなって後になって気付きました。
「自分を含めた複数ライターが参加していて、自分が1人のヒロインを担当する」という形は何回も経験していたんですが、今回のような「単独ヒロインで単独ライター」形式は初。というかロープライス自体がかなり久しぶりだったこともあり、温故知新に近い感覚で担当させていただきました。
とはいえ。フルプライス複数ヒロイン作品と、ロープライス単独ヒロイン作品って、1ヒロインあたりのシナリオ量でいうと(共通ルートもふまえて考えたとして)ほぼ同等ぐらいなことが多く、登場人物の数の多さを考えると、主人公とヒロインを描写できる時間というのは、ロープライス作品のほうが多いことが多かったりするものです。本作もそうだったのではないかと思います(あくまで個人的感覚として)
ちなみに本作を書いているときの感覚は「糺央くん可愛いなぁ(甘寧さん目線)」というものが多くて、エッチなことをするシーンでも「男の子だもんねうんうん」みたいな感じでした。
これは女装作品に多く関わってきた結果、ヒロイン目線で主人公をいかに可愛く描写するか、みたいな感覚が根付いているから――というわけでもなく、妹ぱらだいす時代からわりとそう。
みっつめ。
ダキカノさまの「ダキカノセカンドアフター 隈川由紀」
お話をいただいたときは「セカンドアフター……?」みたいな感じでした(実際にはすでに他の子でセカンドアフターが出ていた後だったので「そんなのもあるのね」と、既知でした)が、お久しぶりすぎるダキカノということもあって、由紀と再会している感じが絶妙にエモかったお仕事でした。
音声作品はやっぱりいいな、と思うと同時に、やっぱ大変だな、とも思ったりして。かつてのダキカノが、熱意ベースでくみ上げていったのに対して、今作に関しては、経験でくみ上げていく形でアプローチした作品だった気もします。
ドスケベメチャシコなことしか考えてない音声もやってみたいなという気持ちもありますが、そういうのって難しいよな、という気持ちもあったりで。経験は人を臆病にさせるのだ、とかなんとか。
よっつめ。
SMEEさまの「ドカイチャ!!ラブピカルポッピー!」
4月に発売されました「ラブポピ」のFDになります。なぜかタイトルを見て「ムカチャッカ」に見えたという話をXでポストしましたが、未だにたまに空見します。なぜなんだ。
後日談だったり本編の合間だったり、イチャ密度をさらに高めてくれる本作。
当たり前のことなんですが、ゲームのシナリオというものは、それを書いている段階では、書いているキャラたちがどんな声でどんな演技をするのか、想像することしかできません(シナリオ=台本になるわけで、その台本で演技をしていただく以上、よほど変わった制作手順でない限り絶対に覆りません)
しかしFDの場合は(FDから出てきた新キャラでない限り)演技も声も知っている状態です。
もう1つ、基本的にFDは「本編でくっついた後=後日談」であることが多く、極端な話、最初にエッチシーンを持ってきても大丈夫なあたりも本編とは大きく違います。
そういった「分からないこと」が判明していて「(本編で)出来ない事も出来る」状態=より多くの情報量とパターンで執筆できる、というのが、本編とFDにおける(個人的には)一番の違いです。
この「一番の違い」は「FDは続編系と異なり、本編をやった人を対象にしている」という部分によるもので、面白いし楽しいし美味しい部分ではあるのですが、逆に言えば「プレイする人の情報量も多い」ということなので、本編との齟齬や差異にとても気を遣うことになります。
(自身が参加した過去の作品でいうと、例えば「妹ぱらだいす!2」は続編なので「妹ぱらだいす!」をプレイしている人もそうでない人も楽しめる作品にする、といった形)
楽しく、難しい。それがファンディスク。
「乙奏」の発売から10年経って
今年で「乙女が奏でる恋のアリア」の発売から10年が経ちました。
あの作品に企画当初から関わっていた当時の私は、まだまだペーペーなライターで(同乙女シリーズ前作である「桜舞う乙女のロンド」に参加していたものの)代表作といわれるとゴリゴリの抜きゲー「妹ぱらだいす!2」という状況だったわけで、おそらくライター発表された時点で「大丈夫かこれ」って思われた方も多かったのではないかと思います。だって私も当時そう思った。
あれから10年。乙奏は自分の代表作と呼べる作品としてずっと名前を出させて貰っており、あの作品があったからこそ、その後、ensemble作品に多く参加させていただいたり、そういった実績もふまえ、いろいろなメーカーさんやブランドさんにシナリオライターとして参加できたのだと思っています。
よく「ターニングポイント(転機)はどこだったか」といった質問がありますが、自分のライター人生を振り返ってみれば、2013年~2014年はあまりにも大きく、その中のひとつが「乙奏」です。
「あー、百合書きてー、百合ゲー作りてー」と思っていた人が、紆余曲折ののちにエロゲーのライターになり、百合企画を作ってみたものの「百合は売れません(※当時の話)」と言われて企画内容を変更して作品を作ったりしていたわけですが、乙奏以後は、結果として『可愛い女の子と可愛い女(装)の子の話』をたくさん書かせていただけたわけですから、乙奏というのは自分にとってあまりにも存在感がでかい。
昨年の「乙秘」は、そういった諸々に対する想いを込めまくった作品だったなと、あれから1年以上たって振り返ると、あらためて思います。携わった方と遊んでくださった方、すべてに感謝。
コロナのこと
水瀬は2023年7月、コロナになりました。ちょうど乙秘が出るちょっと前ぐらいです。
1~2週間ほどで完治したあとは「治ったー」ぐらいの軽い感じでしたが、実際のところは後遺症がそこそこヘビーな感じで、これによる影響もあって、2024年は予定していた量の半分も仕事ができませんでした。
こちらからお願いをして受けた仕事も結果として辞退する結果になってしまったり、何度もリスケをお願いして、どうにかこうにか完遂したり。いろいろな方にご迷惑をおかけしてしまいましたし、現在進行形で、いろいろな方にご迷惑をおかけしています。不甲斐なし。
コロナに罹患する前の2023年頃上半期ぐらいまでは、バリバリやる気に満ちあふれていたこともあり「よっしゃ個人サイトリニューアルだ」なんて言って、このサイトを立ち上げたり、オリジナルの音声作品を作ったりもしましたが、ある意味、そのタイミングでここを作っていなければ、今頃は情報発信する場所も気力もないまま、消えていったんじゃなかろうか、と思います。というかそうなっていた。
あいにく、世の中に『もしも』はないので「コロナにならなかった人生」や「後遺症が軽かった人生」というのは経験できないわけですが、もしそうであったら今頃はどうなっていたかな……と、考えるのが怖いぐらいには、もうめっちゃいろんな人にご迷惑をかけておりました。というか、かけています。
前述の乙奏にしてもそうですが、2024年の水瀬は、過去の自分が打ち込んだ「楔」によって助けられ、生きながらえていた、というのが素直かつ正直な感想です。
そのほか
ここ数年は、この雑記で「来年はこれやります」的なことをちょっと触れたりもできたのですが、今年はそういったこともなく、静かで淡々とした年越しです。
なんやかんや、お仕事はさせていただいていますので、そちらについては発表ができる時期になったら、いろいろお伝えできればと思います。言える範囲で正直に言うと、すごく心強い企画に参加しています。
画像は乙秘抱き枕カバーがバーっとなっているもの。この中にふたり男の子がいるよ。お得。